マルシン飯店(東山)

 どんな街にも、そしてどんな人にも「締めの店」が存在する。深夜遅くまで営業していて、普通の時間よりも夜中の方が混んでいるような。何なら深夜に行列が出来てしまうような、そんな店。京都における「マルシン飯店」は、まさにそんな締めの店だ。創業は1977(昭和52)年と、40年の歴史を持つ店。現在は若き二代目が店に立つ。

 この店に来る人のほとんどが「熟成餃子」と「天津飯」が目当てだ。しかし、私はラーメン評論家だから「ラーメン」も欠かせない。たとえそのラーメンが化学調味料バリバリの、ステレオタイプな街の中華屋ラーメンだったとしてもだ。美味しい不味いではなく、食べたという経験に意味がある。白ネギではなく九条ネギなのが京都らしくて良い。

 天津飯はゆるめの感じが実にいい。「天津飯は飲み物である」と言いたいがための作りになっているような。色々食べた後の深夜飯にも関わらずスルスルと胃袋に流れていく。名物の熟成餃子は早々に売り切れてしまうので、深夜遅めにくると普通の餃子しかない。それでも十分美味しい。ココで餃子を食べる時は酢胡椒が推奨されるが、オリジナルの「餃子醤」というものも売っているので、それを試してみるのも一興だ。

 店内は常時満席。そして店の外には待ち客の列。深夜2時を回っているというのに。素晴らしき京都の締めの名店は東山三条にある。


マルシン飯店
京都市東山区南西海子町431-3

市営地下鉄線「東山」駅より徒歩2分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。