俺のラーメン あっぱれ屋(山城青谷)

 城陽市という他所者からしたらまったく土地勘のない場所で、2009年のオープン以来人気を集めている大型宿題店にようやくの訪問。言い訳としてはアクセス難な立地と平日昼営業のみというハードルの高さ。こちらのお店出身の「あいつのラーメンかたぐるま」(丹波口)には2014年7月に訪問しているので、3年半ほど経ってやっと伺うことが出来た。

 噂には聞いていたが、国道沿いとはいえ本当に辺鄙な場所。バスはあるにしても基本的には車でしか来られないので駐車場が完備している。オープン時間の30分ほど前に到着したのだが、駐車場にはけっこうな数の車が停まっている。平日だというのにオープン前から待ちが出来ているのには驚いた。

 複数名で乗り込んだので、メニューに書かれているものは一通りオーダー。「こくまろ塩ラーメン」「濁とろ塩ラーメン」「スーパーつけ麺」「あっぱれ飯」。つけ麺は20食限定なのだが、オープンで並んでいるお客さんのほとんどがつけ麺狙い。ギリギリありつけたけれど、あと数名後ろだったらアウトだった。

 店主の厨房での動きを見ると、その人が料理人かそうではないかが分かる。この人は間違いなく料理経験者。背中から感じる緊張感と一挙手一投足に迷いがなくスムーズ。そしてご夫婦での連携プレーがお見事だ。接客も洗練されていて、入店前から着席、食べ終わるまでの流れにストレスがまったくない。

 豚骨の旨味の部分だけを抜き取ったかのようなスープが白眉。こういうスープはあまり出会ったことがないかも。そこに合わせられた自家製の多加水平打ち麺はしっかりと茹でてありスープを綺麗にまとう。一瞬スープパスタのような感覚に陥るが、力強い動物系の旨味がラーメンに戻してくれる。レアに仕上げた柔らかなチャーシューやメンマにも料理人としての仕事を感じさせる。料理として高品質なラーメンだ。

 ラーメンは立地じゃないと良く言われるが、それを体現している見本のような店。時間があればまた車を飛ばして来たいと思わせる店だった。この場所で昼営業だけでやれるのは、ご夫婦でやっているからだろう。しかしその分、味の品質や接客を含め店としてのレベルを上げることに注力しているのだろう。ラーメンの作り手としては、一番やり甲斐を感じるスタイルだと思う。


俺のラーメン あっぱれ屋
城陽市奈島下小路11-34

JR線「山城青谷」駅より車で10分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。