【閉店】平成生まれ麺育ち(茶山)

 2018年11月、京都屈指のラーメン激戦区である北白川エリア、白河通沿い天下一品総本店の並びにオープンした新店。何だか意味が分かるような分からないような店名だが、平成の終わりに平成の名を掲げたい気持ちはぼんやりと伝わってくる。

 厨房に面した形のカウンターの他、ハイチェアのカウンターが島状に配置されていて、学生が多いエリアということもあって、グループ客がテーブル席でというよりもファストフード感覚での利用を想定しているよう。白と白木を基調にしたスタイリッシュなインテリアで、清潔感もあって心地よい空間になっている。

 「背油醤油そば」780円。背脂ではなく背油と表記したのには意味があるのかな。地元の老舗松野醤油を使った醤油ダレの活かし方は、遠くに昨今流行りの清湯鶏醤油を思わせなくもない。平打ち細麺は大阪の太陽製麺で、麺に味があり存在感がある。京都ノスタルジックである背脂醤油ラーメンをブラッシュアップというコンセプトは、ミヤタヌードルなどと同じベクトルを感じるが、こちらの方がより今っぽいテクスチャーになっている。

 丁寧に作られた背脂醤油ラーメンで好感が持てる一杯だが、京都の老舗たちが低価格で今も元気な中、このラーメンのアドバンテージがどこにあるのかが分からない。美味しいけれど今のままではきっと流行らない。ラーメン、客商売は本当に難しい。ぜひ頑張って欲しいと思う。


平成生まれ麺育ち
京都市左京区一乗寺塚本町106-2

叡山電鉄線「茶山」駅より徒歩8分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。