本家 第一旭 本店(京都)

 京都に着いたらとりあえずたかばしに向かう。そして『新福菜館』か『第一旭』に行く。これが私の変わらぬルーティンだったが、いつしかどちらの店も長い列を作るようになり、いつしか足は遠のいていた。しかも今は東京にどちらの店も出店をしていることもあり、なおのこと来る機会を逸していたようにも思う。というわけで、久々の聖地巡礼だ。しかし、この景観条例対策看板はいつまで経っても見慣れない。新福は赤、第一旭は黄色というのがお約束だったはずなのに。

 ラーメン好きは「新福」派か「第一旭」派かと語り合うことがままあるが、落ち着いて考えれば二軒のラーメンは全く別のラーメンであり、比べることが間違いだと最近思うようになった。しかし、見事に隣同士の老舗ということもあり、比べられてしまうのは宿命なのだろう。かつて『新横浜ラーメン博物館』に『新福菜館』が出店していた頃は、圧倒的に「新福」派が多勢だったかと記憶するが、今は「第一旭」派が優勢のようだ。

 久々の第一旭。「ラーメン」は記憶と変わらぬビジュアルで出迎えてくれたが、こんなにチャーシューが乗っていたっけ。そして麺もこんなに多かったっけ。東京で食べたのも数年前のことなので、記憶というのは非常に曖昧で朧げなものなのだと改めて感じる。しかし、油とタレの甘みある味わいと近藤製麺の中太麺を啜れば、そうそうこれこれと記憶が一気に鮮明になっていく。

 春が訪れ桜も満開の京都。コロナ禍でありながら、この店の前には変わらぬ長い列が出来ている。京都のラーメンにハマった頃の、ある意味原体験ともいうべき老舗が今も変わらぬ味でこの場所にあることが素直に嬉しい。



本家 第一旭 本店
京都市下京区東塩小路向畑町845

JR線・市営地下鉄線「京都」駅より徒歩5分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。