拳ラーメン(梅小路京都西)

 昨年秋にメニューを一新した拳ラーメン。「京鴨とノドグロ煮干しそば」と「羅臼昆布かけそば」の二枚看板になっている。「京鴨とノドグロ煮干しそば」は昨年食べているので、この日は未食の「羅臼昆布かけそば」狙いで。温と冷があり、どちらにしようか悩んでいたが、店主の山内さんが「冷、美味いですよ」というので冷に決定。

 結論から先に言えば、果てしなく美味い。まだ2月だが、今年食べたラーメンの中で一番美味い。

 スープは羅臼昆布と水だけで、油も植物性なので完全に動物系素材不使用。そこはやはり外国人観光客を意識したとのこと。薄口のカエシも実にいい。麺はしっかり茹でて氷水で締めているので、もっちりとした力強い食感を楽しめる。余計なものを乗せずにシンプルなかけラーメンにしたことで、より意識は麺とスープに集中出来る。

 ご飯の上に乗った昆布はスープの出汁ガラを炊いたもの。そこに食べ終わったあとのスープを注いで、お茶漬けのように楽しんで欲しいという意図。卓上の柚子七味を振りかけるとなおのこと美味い。普段はスープをあまり飲み干さないのだが、こればかりはもちろん完食、完飲。するするっと食べてしまった。

 1,000円の壁を超えるために、具を豪華に賑やかで派手なラーメンにする傾向があるが、美味いスープと麺があれば、かけそばでも1,000円が取れる。私はこのラーメンは適正価格だと感じたが、一般客がこのラーメンに1,000円の価値を感じるかどうかは分からない。ラーメンに料理としての尊厳や矜持が求められているかどうかという話だ。


拳ラーメン
京都市下京区朱雀正会町1-16
11:30~14:30,18:00~22:00
水曜定休
JR線「梅小路京都西」駅より徒歩1分


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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。