【閉店】麺匠 つじや(梅小路京都西)

 2019年2月、七条新千本にオープンした新店は、炭火串焼店のランチ二毛作営業。昼と夜で屋号がやや変わる。店はもちろん居酒屋なので広々としていて、カウンター席もあるのでそちらへ。「焼鳥専門店にしか出来ないラーメン」「鶏一筋十数年の歴史、フレンチの技術」。なかなか謳い文句で煽ってくる。

 ラーメンは1種類でノーマルとチャーシュー麺。頼んだのはノーマルの「極味 kiwami」850円。スープはライトな鶏白湯にゴボウポタージュをブレンドしたものかな。麺は低加水ストレート中細麺で茹で加減はやや硬め。具は炭焼きしたチャーシュー2枚に、炭焼き白ネギ3個、青梗菜、海苔、味玉半個。薬味として生七味も添えられている。

 丁寧に作られていて好感が持てるラーメンになっているが、だからこそ細かな部分で色々惜しいところがあった。「焼鳥専門店にしかできないラーメン」というエクスキュースがラーメンから伝わらないのだ。焼鳥専門店だから鶏白湯、炭焼き店だからチャーシューを炭焼きにする、というのは分かりやすい。しかしなぜゴボウを使い、フレンチの技法を用いるのか。もっと言えば、なぜ豚肉のチャーシューなのか。これ、鶏の炭焼きがゴロゴロ入っていたら焼鳥店らしくて商品力も高まるのにな。

 さらに調味に関しても塩角が強くて甘味が足りない。端的に言えば塩っぱいラーメンだ。やはりラーメンにはある一定の甘味が必要で、それが旨味にもなっている。せっかく鶏を使っているのだから、鶏油の甘味をうまく活かすとか、あるいはせっかく焼鳥屋さんなのだから、具にタレ焼鳥の肉を乗せるとか。甘味の使いどころがいくつもあるだけに勿体ない気がしてしまう。

 最初に書いたように、丁寧に作られていて手抜きしてない真面目なラーメンだ。接客も良いし居心地もいい。しかし色々なところが惜しい。本当、ラーメンって難しい食べ物。しかし時々思うのだ。そんな難しく考えてるのは私の方ではないのかと。それが仕事だと言ってしまえば身も蓋もないが、もうそういう食べ方しか出来ない私がいる。


麺匠 つじや
京都市下京区朱雀北ノ口町51
JR線「梅小路京都西」駅より徒歩2分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。