萬福(四条)

 時々無性に食べたくなる京都ノスタルジックラーメン店。四条烏丸交差点から四条を左へ一筋、室町通を越えたあたりで戦後70年以上続く食堂。
 東京にも同じく萬福という店名の老舗があり、さらに京都には他にも萬福というラーメン専門店もある。福が萬、たくさんあってめでたい上に、音は「マンプク」。飲食店にはピッタリな名前だ。

 「中華そば」650円。ラーメン専門店なんてなかった頃、ラーメンは食堂の一メニューだった。日本蕎麦由来、中華由来、洋食由来とその源流は色々ある。銀座の萬福は洋食由来だが、京都の萬福は日本蕎麦とフレンチのハイブリッド。店主はフレンチ経験があり、スープには蕎麦の返しが使われていてほのかに節が香る。うっすら背脂も浮いた半濁のスープは飽きが来ない優しい味だが、ついつい後を引く力がある。

 「スジ煮込みうどん」も「きつね丼」も「衣笠丼」も気になるが、結局食べるのはいつも「中華そば」。時々頭を上げてテレビのスポーツ中継を観ながら食べる中華そば。今日もすこぶる美味かった。


萬福
京都市下京区鶏鉾町474

市営地下鉄線「四条」阪急線「烏丸」各駅より徒歩3分

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京都拉麺通信

大好きなラーメンを通して、大好きな京都を語る。ラーメン評論家、山路力也のモノローグ。